◇いち

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「お帰り、また今日も遅かったな」 「…ただいまって…何してるの?」 「有難く食せ」 家に帰ると、キッチンにいた一つ下の弟、日向(ヒナタ)がお玉を突きつけてきた。 テーブルに置いた1人用のお鍋の中は… 「……お……じや…?」 「ああ、兄貴最近胃が痛いんだろ?こっちの方がいいと思ってな」 お鍋からは暖かい湯気と美味しそうな匂いがして… 「…気づいてたんだ」 「あ?当たり前だろ?何年、兄貴の弟やってると思うんだよ。俺を見くびるなよ?」 ニヤリと笑う弟は、僕とは違って背も高く格好いいんだ。 茶色く染めた髪は痛む事もなくて、明るい性格は誰からも好感を持たれる自慢の弟。 「ありがと…」 「ああ。あ、母さん達また2人でデートでいないから」 「そうなんだ。日向は今日いるの?」 「あー…悪い。ちょーっと出かけて来てもいいか?」 食卓の椅子に座った僕の後ろから、甘える様に抱き付いてくる日向。 日向は、世間一般で不良という部類に入るらしく、 仲間達と喧嘩したりしているらしい。僕としては、大事な弟が怪我でもしないか心配なんだけど… 弟には弟の生き方があるから。 ,
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