1148人が本棚に入れています
本棚に追加
「お帰り、また今日も遅かったな」
「…ただいまって…何してるの?」
「有難く食せ」
家に帰ると、キッチンにいた一つ下の弟、日向(ヒナタ)がお玉を突きつけてきた。
テーブルに置いた1人用のお鍋の中は…
「……お……じや…?」
「ああ、兄貴最近胃が痛いんだろ?こっちの方がいいと思ってな」
お鍋からは暖かい湯気と美味しそうな匂いがして…
「…気づいてたんだ」
「あ?当たり前だろ?何年、兄貴の弟やってると思うんだよ。俺を見くびるなよ?」
ニヤリと笑う弟は、僕とは違って背も高く格好いいんだ。
茶色く染めた髪は痛む事もなくて、明るい性格は誰からも好感を持たれる自慢の弟。
「ありがと…」
「ああ。あ、母さん達また2人でデートでいないから」
「そうなんだ。日向は今日いるの?」
「あー…悪い。ちょーっと出かけて来てもいいか?」
食卓の椅子に座った僕の後ろから、甘える様に抱き付いてくる日向。
日向は、世間一般で不良という部類に入るらしく、
仲間達と喧嘩したりしているらしい。僕としては、大事な弟が怪我でもしないか心配なんだけど…
弟には弟の生き方があるから。
,
最初のコメントを投稿しよう!