◇いち

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「んな心配そうな顔しなくても大丈夫だって。克也達もいるし」 「うーん、本当に気をつけてね?何かあったら電話してよ?」 「俺としては、兄貴の方が心配なんだけど」 「…僕、日向よりお兄さんなんだけど」 「その拗ねた口が可愛いよな」 「もう…あ、誰か来た?」 ピンポンピンポン鳴るその押し方に、日向が舌打ちした所を見れば… どうやら、日向の友人らしい。 「日向の方が拗ねてるじゃん。ふふ、なるべく早く帰ってくるんだよ?お兄さんが心配してるんだから」 「ちぇ。そんな時だけ兄貴面して。まぁいいや、行ってくるわ」 「うん。ご飯有難う、日向」 「おぅ」 そそくさと照れながら出ていき、玄関で友達に悪態ついている。 …優しい、優しい弟。 日向は… 僕の前からいなくならないよね? ,
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