1148人が本棚に入れています
本棚に追加
…そうしないと、
込み上げてくる吐き気と共に、
涙が出そうになるから。
室内を片付けて情事の残りを消すと、洗濯する為に給湯室に向かおうと扉に手をかけた。
流石にこれをクリーニングに出す訳にいかないから。
「……でもさー、ちょーっと可哀想じゃないー?いくら自分のとこの親衛隊隊長だからってー、隊員との後始末までさせてさー。いくら俺でもさせないよー?」
会計様の声が聞こえて、扉を少し開けたままで固まってしまった。
可哀想といいながらも笑っている会計様からは、蔑んだ声に聞こえるから…
「神流の言う通りですよ、会長」
「「しーちゃんって、かいちょーの事好きなんじゃないの?」」
「………親衛隊…だから?」
「「うん」」
「もしそーならー、可哀想ー!あは!」
「そんな事ある筈ないでしょう。誰が好きな人の後始末しますか。惨めなだけですよ」
「ごちゃごちゃうるせーな。それがあの平凡の仕事だろ。俺は平凡相手にたたねぇよ」
「………っ」
壁に凭れて瞳を瞑って胸元の痛みを拳で押し付けた。
痛むのは胃なのか、それとも心なのか…
,
最初のコメントを投稿しよう!