◇いち

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…そうしないと、 込み上げてくる吐き気と共に、 涙が出そうになるから。 室内を片付けて情事の残りを消すと、洗濯する為に給湯室に向かおうと扉に手をかけた。 流石にこれをクリーニングに出す訳にいかないから。 「……でもさー、ちょーっと可哀想じゃないー?いくら自分のとこの親衛隊隊長だからってー、隊員との後始末までさせてさー。いくら俺でもさせないよー?」 会計様の声が聞こえて、扉を少し開けたままで固まってしまった。 可哀想といいながらも笑っている会計様からは、蔑んだ声に聞こえるから… 「神流の言う通りですよ、会長」 「「しーちゃんって、かいちょーの事好きなんじゃないの?」」 「………親衛隊…だから?」 「「うん」」 「もしそーならー、可哀想ー!あは!」 「そんな事ある筈ないでしょう。誰が好きな人の後始末しますか。惨めなだけですよ」 「ごちゃごちゃうるせーな。それがあの平凡の仕事だろ。俺は平凡相手にたたねぇよ」 「………っ」 壁に凭れて瞳を瞑って胸元の痛みを拳で押し付けた。 痛むのは胃なのか、それとも心なのか… ,
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