3.優眞と縁、噛み合わぬままに

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「縁は何で、そんなに俺が良いわけ」  優真の声は固い。この質問は、縁への問いというより、単なる話題の転換だ。 「何でだろう?」  来たっ。  早くも出た、縁の特技『ソレは置いといて』。  今までの会話など既に頭から抜けていることがありありと伝わってくる。  声の響きが素に戻っており、応えることにのみ集中している。優真の心情など気に掛ける素振りもない。 「優真と一緒にいると気持ちが落ち着くし、気を張らなくていいし」  だろーな!!  てか、もう少し俺に気を遣えよ!!  優真の心の叫びは、縁には伝わらない。 「それに、面白い」 「……面、白い…」 「ん! すごく楽しい。優真といると、ウキウキしたりワクワクしたり、気持ちがフワフワ軽くなる。」 「…そか…」 「優真が色々話してくれるのも、すごく好き。話も面白いんだけど、大好きな事を話してる優真が、楽しそうですごく好き」 「…うん…」 「何かをじっと見つめているような、何にも見てないような、よく判んない集中力も好き」 「ははっ」  いつの間にか照れ(でれ)始めていた優真も、ついには笑ってしまった。 「何だよ、それ」 「優真は何となく笑ってるようにも見える感じの真顔が標準状態だけどさ。目はいつも、すごく力があるんだよね。何かを見つけようとしているような、物事の芯を捉えようとしているような、そんな強さがある」  見つめ合っていた筈の縁の目が自分を見ていないことに、優真は気がついた。  縁は、優真の“目”を見詰めている。ただ自分の瞳を恍惚と見詰めている縁の様子が、優真には、とても綺麗だと思えた。 「その目がね、大好き」
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