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何でこう、秘密主義なんだろぅねぇ…
阿部は、見えない表情に目を凝らしながら、小さく嘆息する。
言い訳くらい、いくらでも聞いてやるのに。
もうちょっと、こう…甘えるとか?、弱いとこ見せるとか?
カワイイところを、俺にくらい漏らしてもいいんじゃなかろうか。
優真とは、中学以来の付き合いだった。
高校を卒業した後渡米したまま帰ってこない優真を慕って?、毎年1回か2回、はるばる海を超えて会いに行く程『仲良し』な阿部。
そんな阿部も、彼女への愚痴を優真の口から聞いたことは一度もなかった。
喧嘩は幾度となくしているらしいが、それすら、優真の機嫌が悪いことから察する程度だ。
しかしそれでも。
それが、自分との隔たりだと決して思わないのは、『優真の照れ』故だと判っているからだった。
何より、彼女とのイザコザを必死で自分に隠そうとしている優真は少年の時のままで。
その変わらない、初々しいとも言うべきカワイイ態度に、
阿部は実のところ少なからず安心していたし、喜んですらいたのだった。
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