11人が本棚に入れています
本棚に追加
それらが全面的に伝わってきて、思わず笑ってしまう優真。
阿部もつられて、…いや。仕掛けた罠にちゃんと嵌ってくれる律儀な優真の笑顔が嬉しくて、屈託なく声を上げて笑った。
そもそも、この優真が一ヶ月も恋人を放置しておくくらいだ、その忙しさが想像を超えたものであることは、矛盾ながら阿部にも想像できた。
実は自分も、こんな狭い研究室で1時間も待たされている。
こんなことは初めてだった。
自分がとやかく言うような事案ではないし、極端な話、そこまでの興味もない阿部だった。
優真とじゃれるネタの一つ、といったところか。
2人で笑っている間に日は完全に沈み、電気を付けずにいた部屋は、気がつくと真っ暗だった。
呑気な自分達にまた笑いながら、優真は明かりをつける。
突然照らされて、目を瞬きつつ、帰り支度を始めた。
阿部は、その様子を目の端に捉えながら、口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!