1.阿部と優眞

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それらが全面的に伝わってきて、思わず笑ってしまう優真。 阿部もつられて、…いや。仕掛けた罠にちゃんと嵌ってくれる律儀な優真の笑顔が嬉しくて、屈託なく声を上げて笑った。 そもそも、この優真が一ヶ月も恋人を放置しておくくらいだ、その忙しさが想像を超えたものであることは、矛盾ながら阿部にも想像できた。 実は自分も、こんな狭い研究室で1時間も待たされている。 こんなことは初めてだった。 自分がとやかく言うような事案ではないし、極端な話、そこまでの興味もない阿部だった。 優真とじゃれるネタの一つ、といったところか。 2人で笑っている間に日は完全に沈み、電気を付けずにいた部屋は、気がつくと真っ暗だった。 呑気な自分達にまた笑いながら、優真は明かりをつける。 突然照らされて、目を瞬きつつ、帰り支度を始めた。 阿部は、その様子を目の端に捉えながら、口を開いた。
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