とある王国の、ものがたり。

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昔々あるところに、男の人と女の人の力がすべて逆転した王国がありました。 周りの国々は、男の王様が国を治めて、男の人が政治をして、女の人は皆、家で家事をして、時たま綺麗なドレスに身を包んでパーティーに出るもの、と云う考えが当たり前でした。 けれど、この国だけは、違いました。国を治めるのは女王様。兵隊さんも女の人。男の人の立場はかわいそうになるくらい低いです。 そんな王国の宮殿に、一人の男の子が仕えていました。男の子の名前は、キマ、と云いました。この王国の言葉でキマ、とは仔羊、と云う意味でした。 キマ、と云う男の子はたいへんかわいらしく、どんなに男の人の立場が低くても、宮殿の女の人は皆、キマのことをかわいがってくれました。 でもほんとうは、一番キマのことをかわいがってくれたのは、女王様でした。
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