お互いの日常

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そうなったのは、つい数ヶ月前。 俺は都内の普通の高校に通う、至極一般的な思春期真っ盛りの高校2年生男子だ。 特に秀でた能力もない。 成績も真ん中、運動神経も真ん中、容姿も真ん中で画力は幼稚園児並み。 そんな部屋の片隅に落ちているティッシュみたいな存在の寄せ集めで出来上がったのが俺。 「おーい猿!一緒に帰ろーぜー」 「うるせー、その名前で呼ぶんじゃねぇよ」 神門秀吉…平仮名読みで【みかどひでよし】、それが俺の名前だ。 名前だけは立派なモンで、勝手に一人歩き状態。 自分のクラスはおろか、学年で俺の名前を知らない奴はいなかった。 秀吉って名前はただ単にかーちゃんが大の豊臣秀吉ファンだったからつけたと聞いた。 お陰様で入学初日から「猿」や「エテモンキー」、しまいには「プロゴルファー」と呼ばれる羽目になったのは言うまでもない。
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