お互いの日常

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で、当日。 最寄りの駅で待たされたのは俺の方だった。 「…プロレス、ね」 昨日半ば強引にポケットに突っ込まれ、ぐしゃぐしゃに皺が入ったチケットを見た後、呟く。 プロレスは好きでもないが嫌いでもない。 まぁ、休日の暇潰しになれば良いかな、程度。 一方の長政は大のプロレス好きで、こういった休みの日は良くプロレス観戦に行く。 付き合わされるのは俺ばかりで、最初興味がなかった筈が何時の間にか選手が放った技名を言えるまでに成長してしまった。 と、色々考えている内に天下の長政様が愛車(ママチャリ)「オカンZ-2」(長政命名)を走らせながらやって来た。 「ひぃ、ふぅ…すまん盟友!ちょっと一発センズ「分かった分かった。お前が性と言う快感に溺れてたのは良く分かった。だから今すぐUターンして帰れ」 「ふぇぇ…」 言い忘れていたが、こいつは阿呆である。 未だにサンフランシスコとフランシスコザビエルの違いが解っていない。 極め付けはある日ブロッコリーを食べた彼が、 「美味い!これがアスパラガスか!」 と休日のファミレスで叫んだ、「休日アスパラガス事件」である。 冗談でやっているのか本気なのかは知らないが、俺は良くこんな奴と十数年も付き合ってるなと身に染みて思う時が多々ある。
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