お互いの日常

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会場。 「元気ですかーッ!」 「お前馬鹿な、本当馬鹿なのな」 「馬鹿野郎、今から熱い男達の闘いが始まるってのに叫ばずにいられるかよ!」 頬を真っ赤にして叫ぶ阿呆。 他人にビンタをかました後、その倍のビンタをお返しされた長政は道中もずっとこんな調子だった。 警察に突き出されてたら今頃ここにはいない。 あの爺さんに感謝しとくんだな、長政君。 「ほら、始まるぞ!ほら見ろジャイアント吉原だぜ!かっけぇーー!」 もうビンタ事件のことも忘れて選手の登場に更にボルテージが上がる長政。 …実は俺達、観客席の一番前に座っている。 こいつ、こんなレアな席どうやって確保したんだ? 「お前どうやってこんな席…」 「あー!?聞こえねぇ、なんて!?」 「いや、やっぱ良いです」 大歓声に全く声が通らない。 大声出すのも嫌だし、仕方ないから黙って試合を観戦する。 せっかくの前席、しっかり男達の勇姿を観させていただきますとも、ええ。
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