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「今日は此処で狩りをするか」  部屋を出て直ぐ、男は目ぼしい場所を見つけ、そう言った。辺りには食料となりそうな物が数多く実っており、食うには事欠かなそうである。  仲間を引き連れる事無く、孤独で作業をする男。汗にまみれて必死に働く姿は、鬼気迫る物を感じさせ何時も以上に男らしく、勇敢にも見えた。 「ふぅ……。こんなものか」  滴る汗を右腕の袖で拭う。数時間掛けて集めた食料は、村人全員が数週間を容易く生きれる程の量である。山の様に積まれた食料に手をついて呟く。 「後は悪魔に出会わず無事に帰れるかだな」  突如感じる殺気。それは男達が悪魔と恐れる者から発せられた物であった。  自身の数百倍もの体格の悪魔を前に尻込みする事なく、勇敢に立ち向かう男。  悪魔の両手に持たれている武器は、男を一瞬で死に追いやる物なのにも関わらず。  一進一退の攻防を繰り返し、ついに追い込まれた男は最後の言葉を残した……。 「女……。今までありがとうな。オレがいなくても幸せに……」  男へと、悪魔の恐ろしい武器が振りかざされた―― ――鈍い音が鳴る。  男を潰した音だ。男がこの世界と別れを告げる、死神の声の様にも聞こえた。  最後に、その場を立ち去る悪魔が去り際に言った。 「ゴキブリ気持ち悪いんだよッ!」
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