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“魔を支配せし王”サタナス・リーパーを倒すための旅を続ける俺、スコール・ウェザーとその妹、レイン・ウェザーが今回受けた依頼は作物荒らしの魔物を退治すること。夜中に白スイカを荒らしていた狼型の魔物、ラヴァウルフを捕獲した俺達兄妹はその巣の特定に成功した。
翌朝解放したラヴァウルフの後をつけて行き着いた先がとある洞窟。中から複数のラヴァウルフの鳴き声が聞こえることからもこの洞窟が巣であるということが裏付けられる。
「ねえお兄ちゃん。魔法使ってラヴァウルフを蒸し焼きにしよっか?」
「お前えげつないな!」
洞窟の前で棒立ちになって作戦をねる俺とレイン。レインはやはりムゴい。
「あははっ冗談だよ。そもそも蒸し焼きにしてもラヴァウルフには効果薄いと思うしね」
「お前ならやりかねないじゃん……。つーか、効果薄いってどうしてだよ」
「ラヴァウルフは本来、火山地帯に生息する魔物だからね。熱や火には強いんだよ」
要するにレインは最初からこの知識を披露したくてあんな笑えない冗談を言ったわけだ。
「ま、何にしても魔法で先制攻撃ってのはアリだよな。……よし、レイン」
「ん?」
「吹っ飛ばせ」
「お兄ちゃんもけっこーえげつないと思うよ……。“爆散する雷(エクリクスィ・ケラヴノス)”!」
直後に響き渡る轟音。強烈な雷光と共に崩れ落ちる洞窟。凄まじい魔法だ。
「あれっ? 洞窟が崩れるような威力は無いはずなのに……。もともと崩れやすかったのかな」
「何でもいいよ。ほら、生き残りがブチギレてるぞ。こっちに走ってきた」
住処(スミカ)を潰されて怒り狂うラヴァウルフの群れが俺とレインに向かって激走する。30匹は越えているのではいだろうか。これだけ数が残っているということは、レインの言うとおり魔法の威力はそこまで高くないのかもしれない。派手ではあるが。
「撃ち抜け、ダートファルコン!」
「“大きな衝撃(ソク・メガロス)”!」
殲滅戦、開始。
両手のダートファルコンの引き金を交互に素速く連続で引き続ける俺。数撃ちゃ当たる。弾幕を張る俺の隣でレインは魔法を連発する。
「“大きな衝撃(ソク・メガロス)”! 連撃“小さな衝撃(ソク・ミクロス)”!!」
広範囲に広がる衝撃波がラヴァウルフの密集している地帯を薙払い、連続して撃ち込まれる小さな衝撃波。
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