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「ほ、ホントにごめんなさい……」
「にゃっ、にゃあ。そんなに何度も謝られるとこっちまで申し訳ない気分になってしまいますにゃあ」
「そ、そうだね。ユリちゃん、ケガとかしてない?」
「大丈夫です。でも、やっぱりタダで許してあげるのももったいないですね。にゃ」
「ユリちゃん? 何をしたら許してくれるの?」
「簡単ですにゃ。あなた方の旅に、私も連れていって欲しいのです。にゃあ」
俺とレインは互いの顔を見合わせた。何を言い出すかと思えば、ユリは俺達についてきたいと言う。
「にゃあ。前々からあなた方兄妹勇者には興味があったのです。出来ることなら一緒に旅をしたいとも思っていましたにゃ」
「お、お兄ちゃん、どうする?」
「俺はいいけど……危なくね?」
俺達の旅は危険と隣り合わせだ。人里から人里への移動ひとつにしても、勇者という立場上魔物との戦闘の数は人より多くなる。そうでなくとも俺達は魔物の頂点のいる城に殴り込みをかけようとしているのだ。
「危険は重々承知のうえのお願いですにゃ」
真に迫る感じだ。何か理由があるのだろうか。
「……しっかたねーな。分かったよ、連れてってやる」
「にゃっ! ホントですか!?」
「お兄ちゃん、いいの??」
「いや、だってこんなに頼み込まれたら断れなくね?」
「ありがとうございますにゃあ!!」
旅は道連れという言葉もある。本人(人?)が行きたいと言うのだから連れて行っても罰は当たるまい。
こうして俺達の旅の仲間が増えた。
ラヴァウルフ討伐完了の報告をするため村に戻った俺達一行。報告は村長にするように言われていたが、その村長の家が分からなかったためまず宿に向かうことになった。
「あら! 帰ってきたのね! 魔物は?」
「倒しましたよ。これで安心です」
俺達の姿を見るやいやな嬉々とした様子の宿のおばちゃん。テンションが上がったのかレインの頭を撫でたり飛び跳ねたりしていた。ついでに言うとユリの存在に気付きおばちゃんはテンションが更に上がり、喋ると知り更にテンションが上がり、とどんどんテンションを上げていった。
「スコール君、レイン君、よくやってくれた。ありがとう」
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