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村最大の農園のオーナー、ルドルフさんご登場である。今日も立派なあごひげだ。おばちゃんとレインとユリはそっちで騒いでいるので村長さんの家はルドルフさんに訊こう。
「ルドルフさん、お礼を言うのは俺達です。昨日はありがとうございました」
「昨日? ……ああ、泊めたことと納屋のことか。気にしないでくれたまえ。むしろ私の方が礼を言わねばならんことだよ」
「いえ、そんな。それより、村長さんにこの件を報告したいんですけど、家が分からなくて……」
「ん? 私が村長だが?」
……はい?
「何を鳩が豆鉄砲食らったような顔をしているんだね? ……ああ、そういえば私が村長だと名乗っていなかったな。私も歳(トシ)だな」
「い、いやあ、誰だって伝え忘れはありますよ。……村長さんだったんですね」
本音としては村長であることは自己紹介にデフォルトで含まれるべきだと思うが、まあそれはいい。
「時にスコール君。もしかしてすぐに発ってしまうのかね?」
「そうですね。明日には出発したいと思います」
「そうか……。だが今日まではいてくれるということになるな」
「ええ」
「それは良かった! 今夜は宴としよう」
「そんな、申し訳ないですよ」
「気にすることはない。君らは我々の英雄だ。お礼と、そしてこれからの旅への激励として晩餐を開く。受け取ってくれたまえ」
結局、断りきれずにルドルフさんのお言葉に甘えることにした。
「よう! 飲んでるか、兄妹勇者!」
「私が腕によりをかけて作った料理は最高だろう?」
「きゃあー! 何この子可愛いっ!」
「にゃっ!? うにゃぁあああ!?」
どんちゃん騒ぎの宴の席。会場は村中央の広場。運び込まれる料理はどれも豪勢なもので、中には田舎の村では手に入らないような高級食材を使ったものまであった。
酒も年代物のワインを盛大に放出する始末。これで楽しめないヤツはいないだろう。
「ウチの店最高のワインだ。味はどうだ、ボウズ?」
「最っ高です!」
「っしゃ! ならこっちの白ワインも試してみろ! グイッとグイッと!!」
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