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「うにゃあぁあぁああああ!!」
「ユリちゃん可愛いーっ!!」
ユリは村娘達に手厚い歓迎を受けているようだ。村娘に混じってレインもユリを愛でに愛でているが……見なかったことにしよう。
きっと酔ってるんだ、うん。
「やあスコール君。楽しんでいるかね?」
「ルドルフさん。もちろんですよ!」
「はっはっはっ。それはよかった。スコール君、明日出発すると言っていたが次の目的地はどこなのかね」
「次は少し北にあるククヴァヤの街を目指すつもりです」
古都ククヴァヤ。古き良き街並みが観光客を集める人気スポット。近くに遺跡群があるためトレジャーハンターや考古学者が多く住んでいるそうだ。
俺達兄妹の目当てはククヴァヤにある「エクサルファ国立古文書図書館」である。
そこで“魔を支配せし王”サタナス・リーパーの情報を集めようと思っているのだ。ヤツはずいぶんと昔にこの世に生まれたのだそうだ。古文書でヤツについて何か手掛かりが掴めればいいが。
「ほう、ククヴァヤか。フクロウ園のある街だな。あそこは良いぞ」
ああ、そういえばそんな施設もあると聞く。
「……だが気をつけたまえ。最近良からぬ噂をきく」
「噂?」
そうだ、とうなずき、ルドルフさんは手に持っていた酒瓶をテーブルの上に置いた。
「ククヴァヤへと向かう途中に森があるのは知っているかね?」
「はい。精霊の森ですよね」
その森は多くの精霊が生まれることからそう名付けられたらしい。
「その通りだ。噂というのは精霊の森に住む精霊達のことなんだが……最近彼らは人を襲うらしい」
「え、彼らって……精霊達のことですか?」
うむ、とルドルフさんは肯定した。
にわかに信じがたいな。精霊が理由無く人を襲うなどという話は聞いたことがない。彼らは自分達の生まれた場所、その自然を荒らす者のみを攻撃するはずだ。
ルドルフさんの話では森に入ったというだけで攻撃された者がいるという。 それも森の精霊が総攻撃。被害者達は不用意に森を傷つけるような人ではないそうなのだが……。
単なる噂なのでルドルフさんもハッキリとしたことはわからないらしいが、警戒しておくべきだろう。
騒がしい夜は更けていく。
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