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魔物の住処が分からないのも、夜中に魔物が現れるからだろう。後をつけて巣を調べることはできない。夜中は活発になる魔物が多いし暗闇の中で魔物に遭遇したら危険だ。
「夜に来た魔物だけ倒しても、また別の魔物が来るだろうな」
「そうだよね。どうしよっか? 巣の場所もわからないみたいだけど」
「夜に魔物を捕まえて、朝になったら逃がす。んで、後を追うってのは?」
「それだよお兄ちゃん!」
「さすが勇者! オツムのできが違うね。おばちゃんなんて最近物忘れがヒドくてヒドくて!」
俺の経験からすると、宿屋のおばちゃんの話は……めちゃくちゃ長い。俺は慌てて「準備しますから」と話を切ってその場を後にした。
「まずは次に荒らされる作物の場所を特定だね」
「そうだな、と言いたいところだけど、そっちはひとりでやってくれ。俺は弾薬とか鎖とか用意するからよ」
「りょーかい、お兄ちゃん」
ひとまずレインと別れ、俺は武器屋へと足を運んだ。店にいたのは小太りの中年男性だけだから、彼が店主で間違い無さそうだ。
「すいません」
「あいよ? 何をお求めで?」
棚に並ぶ短剣類を整理していた店主は武器という物騒なものを扱う商人とは思えない笑顔で応えてくれる。なんとなく笑えてきて、俺も笑いながら俺の使っている銃の弾を2000発注文した。
「待ってくれや、あんちゃん。2000発?」
「はい、2000発ですけど?」
驚く店主に、俺もきょとんとした表情で返す。……前にも弾薬を購入しようとして驚かれたことがあったが……。
「そんなに持ち運べるのか? 見たところデカい入れ物なんて持ってなさそうだしよ。第一、結構な額になるぞ? 金はあるのか?」
「ああ、専用の道具があるんで、大丈夫ですよ。お金もあります」
「……まあ、いいけどよ。よっしゃ待ってろあんちゃん! 今持ってきてやる」
店主は店の奥へと消えていった。
数分後、店主は俺の元へと戻ってきて奥に弾薬を用意してくれたことを伝えてくれた。こっちまで持ってくるのが面倒だから奥で支払いを済ませてほしいそうだ。
「個人で2000発も一気に買うヤツぁ初めてだからな。少しまけといてやるよ」
「マジですか? ありがとうございまーす!」
指定された金額を小切手に書き込んで──。
「じゃあ、これでお願いします」
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