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「ほう? 小切手か。む、六芒星の魔法印(ロクボウセイノマホウイン)があるということは本物だな。よし、これで売ったぜ、あんちゃん」
六芒星の魔法印とはここ、エクサルファ王国で正式書類などに用いる印のことだ。国のシンボルである六芒星のマークだが、魔法を使って印にすることで偽造を防いでいる。この印が押されているから俺の出した小切手は本物であると証明できたのだ。
「あんちゃん、兄妹勇者の兄ちゃんの方だろ。またこの村に寄ることがあったら大量に弾買ってくれや」
ガハハハ! と豪快に笑い飛ばす店主に軽く言葉を返して、俺は魔物を縛る鎖の調達を行うために武器屋を後にした。
「む、しくったな。鎖売ってる店、武器屋のおっちゃんに訊いとけばよかったか?」
思えば宿屋のおばちゃんにももう少し詳しい話を聞いておけばよかったかもしれない。といっても長い話を延々と語られるのはごめんだが。
露店が多く開かれている道を歩いていると、鍵屋に鎖が置いてあるのが目に入った。
「とりあえずここでいいか」
「いらっしゃーい。何をお求めで?」
『お兄ちゃん、お兄ちゃん』
鎖も入手し、宿屋に戻ろうとしていると通信魔石から妹の声が聞こえてきた。通信魔石は個人の魔力を利用した通信機器であり、見た目はグリーンの鉱石だ。仕組みはよく分からないが。
俺は通信魔石を腰につけたポーチから取り出して応答する。
「どした?」
『村のいちばん東側にある農園のいちばん大きい畑に来て。大きい畑だからすぐ分かるよ』
「オッケー。いちばん東側だな」
レインに指定された場所は白スイカを栽培する畑だった。外から見ると普通のスイカだが、中身は真っ白という変わったスイカだ。
それ以外にもいろいろと作っているようだが今の時期は白スイカに集中しているようだ。
「お兄ちゃん、こっちこっち」
レインは白スイカ畑の真ん中で、あごひげをたくわえた老人と共にいた。
「君がスコール君かい? 私はこの農園のオーナーのルドルフという者だ」
「はじめまして。スコール・ウェザーです」
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