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時「緑王さん、離して!!
皆が…皆が、死んじゃう!」
背後から抱き締めて来る緑王さんを、振りほどこうとするが、緑王さんは低く呻いただけだった
緑「駄目だよ?そんなに暴れたら……」
緑王さんは、優しく言い聞かせて来るが
俺は聞きたくなかった
何で緑王さんが……?
何で風間霧に手を貸しているの……?
あの時、兄貴の束縛が苦しくて
辛かった俺を救出してくれたのは
緑王さん……貴方だよ?
“俺が時雨の兄になってあげるよ…”
あの言葉は……嘘だったの?
俺……、緑王さんがいたから
緑王さんのおかげで生きてるんだよ?
目隠しをしている布が、濡れていくのが分かった
何で…泣いてんだよ……
目隠しをされているせいで
何が起こっているか分からない……
何かを殴る音……、何かが割れる音……
低く呻く何か……、怒号と咆哮が混り
そして、記憶に残っている
血の臭い………―――。
時「緑王さん!!離して!!」
泣きながら、背後にいる緑王さんに叫ぶ
緑「それは聞けないお願いだな……
だって、離したら時雨はアイツ等を助けるでしょ?」
緑王さんの声は落ち着いていて
俺の焦りと悔しさは、全く伝わっていないようだった……――
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