プロローグ 全身麻酔からの覚醒

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プロローグ 全身麻酔からの覚醒

   全身麻酔の効果が切れ始める時の感覚は、体験した人にしか分からないだろうけど…アレは嫌なものだな。体験した人同士ででも、ひょっとしたら感じ方は違うのかもしれないけれど。  宇宙の始まり以前を想像するのと同じぐらいに、理解不能な「無」の状態からこの世に生まれ出てくるような感覚?…といっても分からないよね。  俺の場合は、そんな「無」であろう状態…自分がナニで…空間のどの位置に存在するのかも認識していない…宇宙全体に広がった塵のような状態で漂っている…(と、その感覚から抜け出した後から無理矢理に表現するとそうなるんだけど)…その状態の時に…どこからか…  UUUUUUUUUUUUUUUNNNNNNNNNNNNNNNN  UUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUNNNNNNNNNNNNNNNN  …宇宙の底から聞こえてくるような、うなり声が聞こえ始めて、何だろう?という疑問を持ったのが、最初の思考の始まり。  でね。最初の思考が始まると、ビッグバン直後のインフレーション理論さながらに、宇宙中に拡散して薄まっていた俺の意識が、急速に一点に向かって収束を始めるような感覚になるんだ。
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