120人が本棚に入れています
本棚に追加
「…伝次郎殿。貴殿ほどの方が『お別れパーティー』を『今夜』という時間まで限定して開くと宣言された…ということは…要素をどうにかする算段がついているというように聞こえますが…いかがでしょうか?」
ナヴィン爺さんが、初めて見せるような硬い表情で親父に問いかける。最後列左座席のクアの表情だけは助手席の俺から見えない配置だけれど、姫様とラサさんも表情を消して親父の後頭部…というか運転席のヘッドレストを静かに見つめている。
「あーーー。考えていることは想像がついたが…そういうことじゃねぇよ」
心配しなさんな…と、言いながら親父はハンドルを右へ切る。バイパスから市内を東西に走る県道に右折したのだ。このまま東へ進むと市の中心部へと出るのだ。右折の際にも深刻な表情のまま、遠心力で左に体を揃って倒す様が…申し訳無いけど少しシュールで面白い。
親父には、姫様たちの考えが読めたようだが、まだ俺にはさっぱりだ。
「老先生。さっきも言ったとおり、俺は研究者として純粋に異世界には興味を抱いているが…こっちから攻め入ろうとか、そういう物騒なことは神に誓って考えてねぇぜ」
無神論者のハズの親父がぬけぬけと言い切った。しかし…さっきも言ってたけど、異世界へこっちの世界が攻め入るとかって…ちょっと発想がぶっ飛んでないかい?
最初のコメントを投稿しよう!