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市役所の前を通り過ぎ、数本目の道路を今度は左折する。信号は赤になったが、その下に緑の矢印が表示されているので速度を完全には殺さず、きゅるきゅるとタイヤを少し鳴かせながら曲がっていく。
悲壮な顔をしたまま、今度は遠心力で右に同じ角度で体を倒している。シュールで見ていて飽きないな。
「ま。自分で言うのもなんだが、俺の人相が悪いのも疑われる理由の一つだろう。謝る必要はないぜ。…だがな。確かに地球上では今日も紛争や戦争が絶えないが…ま、この国に限って言うなら、そういう行為は、過去の歴史的な事情で…ずっと反省し続けてきたから…まぁ、まずいきなり侵攻しようなんてコトにはならない。…ま。軍国思想というか幻想を未だに捨てられない政治家も若干いるようだが…この国はそういう点では良い意味で優柔不断だからな」
緩やかに右へカーブしながらさらに北上し、最近出来たガソリンスタンドを左手に見ながらその交差点を右折する。ここまで来れば、我が家までもう後わずかだ。
横断歩道を渡る自転車に注意しながら、今回はゆっくり曲がった。
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