第3章 鍵と混沌と無の因子

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 姫様たちは、また互いの顔を見合わせている。やがて、ゆっくりと頷いて言った。  「伝次郎殿がそう言うのであれば…信じましょう。マモル殿にも貴殿にも…既に我々は、返しようのないほどの恩を受けているのだし。…これほどの恩義を忘れて疑うなどとは誠に不敬な態度でした。申し訳ありません」  「良いって、いいって。あんた等にとっては、こっちは完全にアウェイだからな。不安にも思うだろうよ。しかも、自分の世界から命を狙う連中まで来るって言うオマケ付きだったんだからな。心がデフォルトで警戒状態になるのは仕方ねぇよ」  親父…きっと所々意味不明で伝わらないから、変なカタカナ言葉をちょくちょく入れるのやめた方がいいんじゃないの?…と思ったけど言わない。怒られるから。  やがて踏み切りを越え、小学校を右手前に見ながら右折する。もう家は目と鼻のさき。  親父が気にするな…と言っても、なかなか表情の硬さは消えない姫様たち。他に何かまだ心配ごとがあるのかな?  「…これだけ面倒を見ていただいていながら…」  そこまで言って、言葉が詰まる。とても言いにくそうな感じだ。もしかして…?
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