第3章 鍵と混沌と無の因子

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 出会ってからわずか10日余り。しかも、一昨日までの約1週間の俺の入院中には姿を見せなかった…実質、出会って数日の…遠い異世界から来たお姫様。  つんとスマした王族の姫という最初のイメージから、案外、表情の豊かな実は普通の女の子なんだと…やっと分かってきた俺。  自分こそが、暗殺集団の標的となっていると知りながら…無様にその脇で怯えて喚き散らした俺の背を、優しく撫でながら「私が守る…」と言ってくれた気丈な女の子。  不思議な力を指先から打ち出して、毅然として暗殺者たちを撃ち倒していた凛々しい姿。  しかし…実際には、震える指先を必死で隠そうとしていた姫様。  一緒に倒れた時に…触れてしまった柔らかな腕…仄かに膨らんだ胸。言葉使いは男みたいな感じだけど…間違いなくその体は華奢な女の子。
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