第3章 鍵と混沌と無の因子

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 でも。臆病な俺は、姫様のことばの先を、補ってあげることができない。  俺を危険から守ろうとする、親父の言葉に、正直、ほっとしている。  小さい頃から男手ひとつで育ててくれた親父が、普段はどんな態度だろうと、やっぱり最後には俺を危険な所に行かせないように守ろうとしてくれている。 ・・・  姫様たちの帰る手段が見つかった今。  今まで、考える必要の無かったことが、自分の問題として真剣に考えなければならなくなったことで、俺は、目の前が目眩のように揺れるのをどうしようもできずに、深く助手席の背もたれに体をあずけた。 ・・・
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