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基盤の第三象限第一内回廊を占拠したものの、この30周刻間の我が軍の戦果はあまり芳しいとは言えない。
当初は、連合側で最も国力の乏しい白暮の石塔国につながる第三象限中原内回廊を主戦場として、一気に白暮の石塔国を攻め落とし連合側の懐に爪痕を刻みつける作戦だったはずだ。
事の始まりは30と数周刻前。
予てより実質的には我が国の支配下にあった隣接回廊内の辺境小国を、中央集権改革の名の下に併呑すると布告したことに端を発する。
突然の改革に、当然、自治権を奪われることとなる幾つかの小国の王たちは反発し、武力蜂起することとなる。
中央集権改革の強行を企図する碧色の森泉国王政府は、当然、それを上回る武力をもって小国を鎮圧し、反抗した王たちとその一族を第三象限外苑荒野に幽閉した。
これに驚異を抱いたのは、周辺中規模国である。無理もないことだ。
なぜなら、元々基盤最大の国力を誇っていた碧色の森泉国であるが、緩衝地帯の役割を果たしていた辺境小国の併呑により、直接、近隣諸国と領地を接することとなったのだ。
そして、他国への配慮の必要性と開戦への慎重論を唱えた前述の我が上司殿の意見は受け入れられることはなく、出世はまだまだ先だと諦めていた私が、突然行方不明とあいなった前上司の後を引き継ぎ国軍第1従者隊の長となった。二階級特進という縁起でもない特典付きで。
辞令には、「兼ねて宰相付き参謀部勤務を命ず」と書いてあった。かくして同時に、私はダルガバス宰相の直属の部下にもなったのだった。
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