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私が従者隊の長となったことは、隊の仲間から驚きを持って迎えられ………ることはなかった。なぜなら、私が隊の宿舎へ戻った時、既に我が従者隊はダルガバス宰相の命令で第三象限第一内回廊へ向かっていたからだ。おかげで、むしろ私は下っ端の情報伝令手のように、慌てて従者隊の後を追いかける羽目になった。
そのようなドタバタ劇を演じる羽目になったのは、辞令の交付式の直前に、諜報部従者隊よりダルガバス宰相の元へ入った1通の因子通信の為だった。
因子通信には、我が国と第一内回廊を挟んで領地を有する白暮の石塔国の姫が、周辺各国に呼びかけ我が国へ対抗するための連合を結成しようとしている…との情報が載せられていた。
白暮の石塔国は、隣接する他国の中では最も勢力の小さい弱小国家であり、因子通信の第一報を目にした時にはダルガバス宰相は「ふん」と鼻で笑っただけで、とりあいもしなかった。
しかし、第二報の因子通信を受け取りダルガバス宰相の表情が一変する。そこには、石塔国の姫がその名の4節目にシャンタンと称することを許された末姫、すなわち詠唱者の可能性が高いとの報が載せられていたのだ。
詠唱者…それも守護者付きとなると、単なる従者隊を引き連れた王族とは脅威の度合いが大きく異なる。
石塔国が詠唱者を大使として送り出すということは、その他の国も詠唱者を派遣する可能性が出てくるということだ。
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