1話

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「何言ってるのお姉ちゃん。私だよ玲奈(れいな)。忘れちゃったの」 全く思い出せない。 そもそも私の髪は黒。巫女は橙それがわかって言ってるの? 可能性として有り得ない。 「そもそも両親から生き別れたって話すら聞いたことがない。それなら貴方のお姉さんのフルネーム言ってみてよ」 これで人違いであると証明できるはずと、私は信じている。 「御中主 巴(みなかぬし ともえ)♪」 巫女は嬉しそうな顔でそう答えた。 間違えを恐れない堂々としたその表情羨ましい。 是非ともその恩恵を頂きたいものだ。 そんな事より私の名前は、御中主 巴。 巫女のお姉さんの名前は、御中主 巴。 ほら違うじゃん。 今から警察の所へ行ってお姉さんの身元を探して貰うからね。 え… 「嘘だ!」 「お姉ちゃん。そんな古典的なノリツッコミされても反応に困るから止めて。恥ずかしい」 「嘘だ!嘘だ!嘘だ!認めない。私に巫女服を着る妹がいるわけがない」 玲奈と名乗る妹はジト目で騒ぐ私を止める事なく見守り続けた。
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