月のない夜

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 自家製のパンとスープの夕食を取りながらつぶやく。 「人に会いたいな……」  皿のスープを舐めていたヴィーは、軽くぎょっとして顔を上げる。  簡単に同意したのはJだ。 「明日にでも街へ行ってみればいい。私の知り合いを紹介しよう」 「……うん」  あまり気のない返事をして食事に戻る。ヴィーはそれを心配そうに見遣ってから、涼しい顔の灰色猫を睨んだ。 「なんだ?」  敏感に察してJが問う。羽根を広げかけたヴィーだが、そのまま戻した。語らずそっぽを向く。  ユーミンはどちらも見ないふりをした。
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