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《Ⅰ》
キーンコーン、カーンコーン
キーンコーン、カーンコーン
終礼の金のアナウンスが辺りに響き渡る。
うちのクラスではその音が終わったのと同時に先生から声がかかった。
「明日は終業式やから、遅れないように!もちろんサボリも駄目やからね!」
「起立!礼!」
「「さようなら!」」
高校に入ればこういうのはなくなると思ってたんやけど、流石にそうもいかんか。
そう思っていた時だった。
「黒!」
後ろの席から不意に声がかけられる。
別に色をただ叫んだわけじゃない。黒というのは俺、赤峰黒乃(あかみねくろの)のあだ名である。まったく人の名前を黒だの、赤だの散々言ってくれよって。
俺はとりあえず呼び主に答えるために後ろを向いた。
「どうしたん?竜?」
彼は葛城竜太。高校での数少ない友人。
あだ名は竜。色しかつけられない自分としては羨ましい限りや。
「今日、遊びに行けへん?夏休みイブやし」
夏休みイブってなんやねん。イブとつけらればいいと思うなよ!言っとくが突っ込まんで、天然のボケ野郎に一々突っ込でられるか。
「悪いけど、パス!今日は“トリブレ”のアップデートの日やからな」
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