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「……はい」
そうか
邪魔、か。
「………………」
重い足を引きずりながら体育館を出る。
鼻の頭はズキズキするし、鼻血は止まらないし。
うん、こんな奴がいても足を引っ張るだけだよな。正論だ。
「……………っ!」
覚束ない足取りで体育館の扉をくぐる。
ダンス部の同級生や先輩がみんな俺達のやり取りの一部始終を固唾を呑んで見守っていたらしい。
気まずそうな顔をした部員達の顔が視界の端に映り、なんだかいたたまれない気分になる。
今の俺、かっこわるすぎ……
別校舎の廊下に足を踏み入ると、吹奏楽部の楽器を演奏する音が静かな校舎に鳴り響いていた。
どこかで聞いたことある曲だ……
優しいハーモニーが、俺の後ろ姿を更に孤独に色付ける。
「…………………」
はらり、と今まで堪えていた一粒の涙が頬を伝った。
「……っ!うぅっ………」
どうせ俺は出来損ないだよ
ダンスなんてできないし、
勉強だってできないし、
特技もないし。
誰もいないんだ。
泣いたっていいだろ?
どうせ俺なんて―――
「よ、そこの鼻血出してる君」
……へ?
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