羞恥

6/7
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
女がゆっくりと僕の方に向き直る。 「まぁ……でもお似合いのカップルかな? あなたもなぶられて相当喜んでるみたいだしね」 女が素早い足取りで舞台から降り、舞台上の男たちに笑いながら言った。 「この娘ね、指で弄られるのが好きみたい。見たでしょう? 指で優しく弄ってあげなさいな。良い声で鳴くから」 そう言って、僕の方に戻って来た。 舞台の上では、十字架の女――僕の彼女が一斉に男たちになぶられ、悲鳴をあげていた。 「……いつ、僕の彼女だとわかった」 戻って来た女に問うと、女が不敵な笑みを向けた。 「勘」 それだけ言って、僕の耳もとに唇を近づける。 「あなたの視線がね……普通のそれとちょっと違ってたから、当てずっぽうで言ってみたら正解しちゃった」 艶っぽい声に背筋がぞくりと粟立った。 それよりも……と女が続ける。 「さっきの言葉。前言撤回するわね」 そうしてゆっくりと懐から一枚のカードを取り出す。 それは名刺だった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!