beautiful myth Ⅴ

春

春になれば桜が咲く大通りはよりきれいだ。なんでも、マイが手配したそうだ。倭の国の桜は本当にきれいだ。

「こんなのあったっけ？」

ジオは覚えていないらしく、桜を見て呟いた。

「桜だよ。マイがルルと植えたって言ってたじゃん。」

「あー、そういやそんなこと言ってたな。桜か……きれいだな。」

ジオは桜を眺めながら歩いている。前方不注意だ。

そういう時に限って人とぶつかりそうになる。

サラがジオをかばうように前に立つと、前から来る歩行者にぶつかった。

「あ、すみません。」

ジオがすぐに気づき謝る。しかし相手がいかつそうな人で、わざとらしく痛がっている。

当たったの私だし、そんなに痛くないけど。