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試しに力を入れてみるとゴリリと音を立て、釘が抜け落ちた。
「あ、ポルターガイストだ」
・・・もう慣れたらしい。
気を取り直して3本目の釘を抜いてみると、
・・・あれ?何かさっきまでと、雰囲気が違うぞ・・・?
釘を抜いた瞬間、何か台の上が変わった気がした。何が変わったのか、それを考える前に
ギィ・・・
きしむような音が、どこからか聞こえて・・・
不意に、灯りが消えた。
「イヤあああああああああああアアアアアアアアッ!!!」
な、今の悲鳴・・・志穂ちゃん!?
焚き火が消えて薄暗い闇の中、這って志穂ちゃんの近くに寄ってみたが
(暗すぎて、志穂ちゃんの様子が分からない・・・!)
「あぐぐぐ・・・!」
志穂ちゃんの苦しそうな声が絶えず聞こえる中、ふと、気付いた事があった。
ほこらの扉が、開いてる?
・・・よし、中を探ってみよう。
手を突っ込んだほこらの中には、細長い棒が何本も積み上げられていた。手探りでも分かる。
これは・・・マッチ棒だ。これで、また明かりを灯せるな。
だが、手探りで紙束の残りに火を点けようとしても、近づけると何故かマッチの炎がかき消えてしまう・・・
だったら、ロウソクに火を点けてみよう。
よし、これで・・・
焚き火の時は何度やってもダメだったマッチの火がロウソクには簡単に点いた。
志穂ちゃん、大丈夫か!?
「あぐうっ・・・!」
志穂ちゃんが苦しそうに抑える首はおかしな色に変色していた。
(首が・・・!これはまさか、錆?赤錆が、アリの大群のように、首を這い上がってる!)
「嫌、いや、イヤ・・・!私、こんなの・・・!」
志穂ちゃんが酷く苦しんでる!何か俺にできることは・・・
考えようと手を着くと、左手が触れたのはさっき何度やっても火が点かなかった紙束だった。火は点かなかったはずだが、燃えかすの中、光が漏れているのを見つけた。
紙束の燃えかすを探って光の原因、まだ燃えてない紙を一枚拾い上げた。
この紙、もしかして・・・お札なんじゃないか?
お札を志穂ちゃんの前にかざすと白く輝きだした!
「んああっ!」
(・・・ど、どうだ?)
「・・・はあ、はあ」
(どうやら、正気を取り戻してくれたみたいだ・・・)
「ふぅ・・・、苦しかった」
どうやら志穂ちゃん、錆の事には気付いてないようだ。
「この洞窟、タチの悪い虫でもいるみたいだ」
(・・・ただの虫ならいいけどな)
志穂ちゃんは気持ち悪そうに首元を払っているが、変色した首は治っていなかった。
「それと、藤森君もいるみたいだ。・・・見えないけど」
(え?)
「助けてくれたんでしょ?何となくだけど、分かるんだ」
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