灼熱に包まれた街

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━━━━ピチャンッ…ピチャンッ… 耳に入るのは、水が落ちる音と地上からの衝撃… クィードとリュドミラの足音だけだった。 「な、なぁ…リュドミラ、道知っているのか?」 「いいえ?知りませんけど…?」 キッパリと言った。 「知らないって…っ!地上では今も竜が暴れてるんだぞっ!」 先程からの衝撃は竜のものだろう 鳴り響く度に、砂がパラパラと降ってくる。 「あの竜は召喚式だったわ…。誰かが召喚したと言っても相当なマナを持っていると思う。あの召喚式竜はマナの力も得て、あれほどの力があるの」 「普通の竜ではあそこまで出ないという事?」 リュドミラは頷いた。 しばらく進むと広い空間に出た。 さっきまでのゴツゴツした壁ではなく、誰かが作ったような造りだった。 「ここは…」 「やっと見つけた…っ」 目の前には盾、刻印の刻まれた盾が小さな光を浴びて立てかけてあった。 その刻印はリュドミラの眼帯にもあった刻印だった。 「なんでこんなところに…盾が…」 そこでクィードはふと思い出した。 昔、伝説の英雄と言われし竜騎士が長剣と盾を隠したと言われ 長剣は竜に認められし者だけが引き抜ける。 それと同じように、盾も竜に認められなければ持つことはできない。 ━━━━ホワイトティルドラグニル 「…っ!? リュドミラ…君はもしかして…」 彼女は盾の前でクィードに振り向き、言った。 「そう、私は竜に認められし竜騎士。でも、盾はまだわからないの。ホワイトティルドラグニルの物なのかどうかがね…」 「だけど…刻印が同じじゃ…」 「うぅん…刻印がどうとかじゃないの…問題は…これ…」 リュドミラは眼帯をゆっくりと取外した。 眼帯の奥の瞳が…左の蒼色の透き通った瞳とは遥かに違った。 紅蓮のような紅い瞳、その瞳には光が全くなかったのだ。 「この…眼…『竜眼』っていうの、竜と契約する時…うぅん、竜騎士に選ばれた時に体の一部を授けなくちゃいけないの。それと同時に竜も私に一部を授けるの…私はこの右目を授け、そして竜の右目を授かった…。」 「………。」
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