灼熱に包まれた街

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何も言えなかった…。 「そしてね、竜騎士となった者はね、契約した竜が死なないと死ねないの、でも他の竜に殺される場合は契約した竜は死なずに、契約した竜騎士だけが死んじゃう。」 今、彼女はどんな思いでこの言葉を口にしたのだろう? どんな思いで竜騎士になったんだろう。 そして、どんな気持ちで右目を授けたのだろう。 それは彼女にしかわからない だけど知ろうとするとさらに彼女が辛くなりそうだった。 彼女の蒼い瞳を見ればわかる。 「本当は辛い」…そう訴えているのがクィードは分かった。 彼女に対して、クィードが出来る事… 「…?クィード君?」 「なるほどね、じゃあその盾は俺が持つ」 「でも、これは竜に認められた者にしか…」 「なら持ってみ」 リュドミラは盾を持とうとする …がピクリともしなかった。 「…え…っ?どぉして?」 「確かに、竜騎士に選ばれた者が持てるって言うのは昔話、いや古書に書いてある。」 ━━━━が、一つの部位を授け一つの『竜具』を手にする事が出来る。 そう書いてあった。 「この盾が持てるのは、新たに竜に認められた竜騎士か、認められている竜騎士が認めた人間…そう書いてあった。」 今のクィードでも持てない盾…だが、今すぐ傍にいる竜騎士に認められれば、この盾は持てる。そういうことだった。 彼女に会って…まだ1時間やそのぐらいだろう。だが、彼女は盾を欲しているのは間違いない。 「…分かりました、一度助けられているので、ここはクィード君の言う通りにしてみます。」 「すまないね、ちょっとした無茶ぶりなんだけど」 認められるには契約が必要。 そう、つまりクィードはリュドミラとの契約をしなければいけない クィードはそこについては少し緊張していた。 「…それでは、契約を始めますね…っ」
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