ある日紅い空の下

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 ある日のことだった。  強敵が現れた。南区中央公園――――悪ガキひしめくその場所に、一つの噂が流れていた。  【中央公園には、黒い魔王が現れる】  それを聞いた僕たちは、周りからすれば意外なほどに驚いたことだろう。  "魔王"を冠するものを相対するのは初めてだった。    この話を聞いたものは、意外なことだと驚くかもしれない、  しかし、肩を並べるモノがいないほどに、当時の"勇者"の強さは子供たちの中で頭一つ以上に抜けていた。  悲しいことに、仲間であった僕たちでさえ、その子供たちの一人であった。  強敵が現れた、と勇者は笑った。  噂を耳にしたその日に、勇者は僕たちを集めてその公園へと足を運んだ。  いつものことだ。悪を蹴散らす勇者の背中を、僕らは追いかけ続ける。  その日もいつものようにその光景が広がることを僕らは知っていた。  その魔王と対峙する、いざその時までは。
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