21人が本棚に入れています
本棚に追加
この暗闇にもいくらか目が慣れたとはいえ、目の前で私の手を握り無言で歩く彼の表情まで伺うことはできない。
「ちょっと、怖い…かも」
呟いた声は、あっという間に波にもみ消されてしまう。
彼の言うままに、この暗闇を歩き続けていいのだろうか…?
私が急に立ち止まったせいで、彼に繋がれていた腕が引っ張られ少し痛む。
「痛っ」
「あ、ごめん。でも、もう少しだよ」
そう言って再び歩き始める彼に、今度は従うしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!