12人が本棚に入れています
本棚に追加
人のせかいと言うのは、面白いもので、一人一人が同じということはありません。人がいっぱいいるせかい、あまりいないせかい、元気なせかい、大きなせかい、小さなせかい。
そんな色々なせかいの中で、ぼくのせかいはとても広く、でも、一面乾いた荒涼としたせかいでした。
ぼくはそんなせかいで歩き続けました。砂以外に何もないせかい。ぼくはずっと、ずっと歩き続けました。
でも、ぼくはついに倒れてしまいました。喉がカラカラで、ひもじくて、動けなくなってしまったのです。
その時、ぼくは気付きました。
投げ出した手の向こうに、ひんやりとしたものがある事に。
ぼくはそれが何なのか知りませんでしたが、本能的にそれを掬(すく)い、口に持っていったのです。
そうすると、乾いていた喉に、何かがじんわりと広がって行きました。ぼくはその時知りませんでしたが、なんとそれは水だったのです。
ひからびたせかいに、砂以外のものを見るのは初めてで、ぼくは驚きました。そして、渇きを癒してちょっとだけ元気が出たぼくは、顔をあげました。
最初のコメントを投稿しよう!