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警察が来るまでの時間、この男は亀甲縛りの状態で晒しものにしておく。
それにしても、先程外で見た時とは全くの別人のようだ。
目がギラギラしていて、興奮状態はまだ治まっていないらしい。
「おい、変態。」
「なんだよ、テメー!俺のこと蹴りやがって、訴えるぞ!」
「訴えて勝てんのか?恥かくのお前だぞ。」
暴れようとするが、縄のせいで自由に動くことができない。
男をこれ以上責めても萎えてくるので、一旦無視することにした。
すると蔵屋敷老婆が男に詰め寄り、すべてを聞こうとした。
そろそろポケットに手を入れる。
「お前!!律様を今までどれだけ痛めつけた!?」
おばあさまの迫力がこれほどまでとは思わなかったが、聞きそびれたことが聞けそうなので黙って話を聞いていた。
応急処置を済ませた律は真理亜に付き添われ、別の部屋で休んでいた。
「あのガキが言うことを聞かない時だけだ。毎回やってたわけじゃない。」
「それで、あの痣ができるのかい!?」
「顔はやってねぇからいいだろ!」
「何を!?」
「殴ったよ!言うこと聞かねーんだもん!しょうがないじゃん!」
呆れてものも言えない。手を使わないで言うことを聞かせるのが家庭教師だろう。それに言うことを聞かないのは教師の力量の問題ではないか。
俺も質問をする。
「髪の毛もか?」
「あれは、今日が初めてだよ!」
「認めるんだな。」
「ああ!だから早く離せ!」
もう一度ポケットに手を入れる。
数人のメイドが走ってきた。この騒ぎを黙っているわけでもないだろう。
「蔵屋敷様!どうなされました!?」
「この男がのぉ!!」
隔離されているとはいえ、メイドの中は縦社会のようだ。もしここで蔵屋敷さんを蔑視するようなメイドがいれば、容赦なく説教していたかも知れない。
「分かりました!奥さまに連絡いたします!」
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