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真実を事細かに話した。
それでもなお、厚化粧は信じようとしない。
蔵屋敷老婆の訴えにも耳を貸すことはなかった。
「仕方ありませんね。この男が変態教師であるという証拠、ここにあるんで聞きましょうか。」
「やめてくれ!!あれがばれたら、もう父さんに認めてもらえなくなる!」
信楽の意見に耳を貸すつもりはない。俺は容赦なく録音機の再生ボタンを押した。
「お前!!律様を今までどれだけ痛めつけた!?」
「あのガキが言うことを聞かない時だけだ。毎回やってたわけじゃない。」
「それで、あの痣ができるのかい!?」
「顔はやってねぇからいいだろ!」
「何を!?」
「殴ったよ!言うこと聞かねーんだもん!しょうがないじゃん!」
「髪の毛もか?」
「あれは、今日が初めてだよ!」
「認めるんだな。」
「ああ!だから早く離せ!」
停止ボタンを押す。
信楽は力なく俯いていた。何かブツブツ言っているが、聞きとれない。言い訳をしているのだろうか。ここで何か言われても面倒なので、心理的な所をついてみる。
「嘘言っても無駄ですからね。蔵屋敷様に言って、部屋にも監視カメラをつけさていただきました。もう全て映ってますから。」
変態家庭教師は何も言わなくなった。我ながら嘘がうまい。誉田誉を見ると唖然とした様子である。
「・・・て。」
「はい?」
「買わせて。その録音機。」
こう来るか。金儲けは嫌いではないが、1億積まれても渡すつもりはない。
どこまでの意識なのか、確認してみることにした。
「録音機とカメラ合わせて20億でどうですか?」
その場の空気が凍った。盛りすぎたか。
誉田誉は焦点を合わせずに言った。
「わ、わかったわ。それで、黙っててくれるのね。」
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