大財閥のお宅にお邪魔する

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ルドルフに持ってこさせた前金を車から取り出し、その場にトランクごと投げ捨てた。 「これは前金の500万です。あと、口約束ですが20億1000万をいただくことになっています。それはここで全部支払います。なので、御両人の怪我の治療に当ててください。あと、律と蔵屋敷さんはウチで預かりますから。」 唖然とした屋敷の人間に向けて、帰り際に言い忘れていたことを言い放った。 「20億はくれるとご夫人がおっしゃいましたが、私はこれを渡すとは言っていません。すぐに警察に持っていきますから、信楽さん覚悟していてください。」 死んだように動かない若者は、とうとう発狂した。 これからあの財閥はどうなるかなど、俺には関係のないことである。 ちらりと後ろを見ると、剛三郎氏が2人の抜け殻に向けて何かを言っていた。 もちろんこの距離では何を言っているのかは分からない。 ただ、そのあと剛三郎氏はメイドを引き連れ、2人をその場に残して屋敷の中に入って行った。
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