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2人と別れると、俺はCの建物へと向かった。
石段のある庭にはシェパードが2匹放し飼いされていた。
「向かってくるなよ。」
俺の一言で火がついたように、暑さでぐったりしていた2体の猛獣は風を切るように俺の方へと向かってきた。
ここで冷静さを失っては、猛獣の胃の中へと消えていく気がしたので、脳内の知識の箱から必要最低限の情報を引き出し、1つの打開策を発見した。
ジャージのポケットをまさぐる。
非常食として取っておいたキャラメルを5つ、瞬間的に皮を剥き、猛進してくる猛獣に投げつけた。
案の定、猛獣は非常食を貪り食い、満足したようにその場に寝転んだ。
しかし、5つもやる必要はあっただろうか。
そう思うと、やけに腹が減った気がした。
シェパードがまた襲ってこないか心配しながら歩いていると、大きな建物に着いた。
ここは、俺が担当する建物Cである。この大きさだが、他の建物と比べると最も小さかった。
腕を回し、気合いを入れ、建物の中に入ることにした。
ドアを開ける。
真っ暗闇が広がっている。窓はないのだろうか。
バッグに入れておいた懐中電灯を手にし、捜索を開始した。
大きい建物ではあるが、部屋は5つしかないようだ。おそらく1つ1つの部屋が非常識なくらい大きいのだろう。
まずは入口から一番近い部屋を調べる。
ドアを開ける。
窓から差し込む光で、俺は眩ませた。
この部屋は特に何もないようだが、気がかりがある。
埃だらけ。
誰もいない。
入口を入った時にも感じたが、この建物に人はいないのだろうか。
とりあえずはこの部屋を後にすることにした。
次は向かいの部屋である。
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