2人が本棚に入れています
本棚に追加
この部屋は人形がたくさんある。
不気味だ。気持ち悪い。
俺の苦手なものベスト3にランクインしている日本人形がずらーっと並んでいる。恐怖映像のような番組を見るときでも、人形が出てくると他の番組に変える癖は4歳の時から染みついている。
変な汗をかき始めた。我慢して、辺りを見回す。
特に変わった様子はない。
さっさと別の部屋に行ってしまおう。
部屋をそそくさと飛び出し、次の部屋へと向かった。
寒気がする。どうしたものか。呪われたか。
「ふっ。」
・・・笑い声?この建物の奥から、聞こえた気がした。
今にも腰を抜かしそうだったが、勇気を振り絞り、声のする方へと歩き出す。
人形の部屋の2つ隣の部屋である。
「ふっ。」
ここを調べられなければ探偵じゃない。ただのチキンだ。俺は探偵だ。チキンじゃない。
「よし。」
小声で気合いを入れ、ドアノブに手をかけた時だった。
「どちら様ですか?」
「いやぁあぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」
後ろにいたのは俺のへそくらいの身長の老婆だった。
出た。
そう思うしかなかった。
「すいませんね。驚かせてしまって。わたくし、誉田財閥初代隔離棟担当メイド、蔵屋敷トキと申します・・・。」
「あ、探偵の、関尾と、申します・・・。」
たどたどしい挨拶になってしまった。しかし、このタイミングでこのような老婆に出会えば、誰だってこんなリアクションになるだろう。・・・恥ずかしい。
「探偵さん?もしかして、『クマ』の捜索でしょうか?」
「え、ええ。そうです。誉田誉様からの依頼で参りました。」
「それはそれは、ご苦労様です。『クマ』はこちらにいますよ。」
「え?」
最初のコメントを投稿しよう!