大財閥のお宅にお邪魔する

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この部屋は人形がたくさんある。 不気味だ。気持ち悪い。 俺の苦手なものベスト3にランクインしている日本人形がずらーっと並んでいる。恐怖映像のような番組を見るときでも、人形が出てくると他の番組に変える癖は4歳の時から染みついている。 変な汗をかき始めた。我慢して、辺りを見回す。 特に変わった様子はない。 さっさと別の部屋に行ってしまおう。 部屋をそそくさと飛び出し、次の部屋へと向かった。 寒気がする。どうしたものか。呪われたか。 「ふっ。」 ・・・笑い声?この建物の奥から、聞こえた気がした。 今にも腰を抜かしそうだったが、勇気を振り絞り、声のする方へと歩き出す。 人形の部屋の2つ隣の部屋である。 「ふっ。」 ここを調べられなければ探偵じゃない。ただのチキンだ。俺は探偵だ。チキンじゃない。 「よし。」 小声で気合いを入れ、ドアノブに手をかけた時だった。 「どちら様ですか?」 「いやぁあぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」 後ろにいたのは俺のへそくらいの身長の老婆だった。 出た。 そう思うしかなかった。 「すいませんね。驚かせてしまって。わたくし、誉田財閥初代隔離棟担当メイド、蔵屋敷トキと申します・・・。」 「あ、探偵の、関尾と、申します・・・。」 たどたどしい挨拶になってしまった。しかし、このタイミングでこのような老婆に出会えば、誰だってこんなリアクションになるだろう。・・・恥ずかしい。 「探偵さん?もしかして、『クマ』の捜索でしょうか?」 「え、ええ。そうです。誉田誉様からの依頼で参りました。」 「それはそれは、ご苦労様です。『クマ』はこちらにいますよ。」 「え?」
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