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こんなに苛ついては集中できない。どうせ居づらくなった空気になってしまったし。そう思うとため息しかでない。
―ああ、幸せが逃げていく。逃げられて逃げられて、なくなってしまうんじゃないか。もともとあるかないかもわからないものだけど。
悲愴感に浸っても秋の風は慰めることなく淡々と吹き、亮司を冷たくする。
―いけない、前を向かなきゃ。
そう決めた。その瞬間から横を見てしまった。一気に視線の先に思考が奪われる。その光景は決意が断たれても仕方のないといえるものだった。
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