はじまり

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「あぁあああ!!だめだ集中力続かなぁい!!」 ―このままじゃあ、せっかくの土日が荷物の整理だけで終わってしまう……。  灰紫の瞳をキョロキョロと動かしあたりを見渡す。 ―ベッドや冷蔵庫、洗濯機やなんかは後から兄貴が届けるっていってたけど、ってことは届くまで床で寝て、コンビニ弁当で、コインランドリーいかなきゃあいけないってことじゃん 「うわぁああ!めんどくさぁああ!」  後先考えずに開け、溜まった段ボールの空。置き場がなく空けすらされてない段ボール。段ボール。段ボール。と、時々用がすんだガムテープ。  見れば見るほど襲ってくる現実は亮司の集中力を削っていくばかりだ。 ―そういえば、母さんが管理人に挨拶しろ挨拶しろってうるさかったな。  ポケットに手を突っ込むと、煙草の箱とライターに触れた。感触から、残りが少ないことが伝わってくる。 「挨拶のついでに煙草の買うかあ~」  興味の無くなったノルマのことなどすっかり忘れた。肌寒い秋の風を感じながら、頭の中は管理人と煙草のことでいっぱいだった。
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