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短くなり弱々しい煙しかでなくなった煙草に目が行く。
―あ~。帰る前に煙草買わなきゃ。
ダルン、と腕の力が抜かれた瞬間。用のない煙草は辺りに灰を散らしながら落ちた。
その煙草がどう落ちたか、ちゃんと火が消えたのか。
そもそも用の無くなった物に興味はないので、振り返らずにその場を去る。
はずだった。
「ちょっと!」
まさか。
まさか、この自分がたった煙草一本で、誰かも知らない一声で振り向くなんて。
「タバコのポイ捨て禁止!!」
内心驚きでいっぱいだった。もちろんそんな素振りを見せることなく目の前の男を見つめる。
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