過去の話をひとつ

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 いつからだったか、両親から大きな期待を持たれるようになった。末っ子で、それまで散々甘やかされ可愛がられていたのにだ。    原因はわかる。    実の兄だ。  俺は兄が嫌いだった。  好きなこと以外は全て曖昧にして放り投げてきた。くせに、大切な人ができた途端大切な人が関わることは全て完璧にこなした。  嫌いでもあり、羨ましくもあった。  様々な目から自由に逃れた兄が。  ああいう奴には絶対なりたくない。関わりたくもない。俺と兄貴は違う。小さな幸せを大切に大切するんだ。  
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