出会い

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彼との出会いは去年の夏、 会社から暇を出された 俺は何故か気分がよかった 絡み付いていた鎖がほどけた ような感覚に襲われていた だから、もう、 なんでもよかった… その時期は丁度、 夏祭りの季節だった 一時の感情的な なんとなくで神社へ向かった 正直、神社なんてガキの頃に 一回だけ初詣に行ったきりだ 慣れない長い階段を駆け上がり 息を切らして社へ近付いた するとどうだろう… 社の中に、薄い焔のように灯る 一人の少年がいた、 俺の記憶が正しければ 神社の神主や巫女は とっくの昔にくたばっていて 神社はほとんど誰も来ない、 誰も近寄らないような、 そんな廃地になっていた ような気がする そんなことを考えていると いつの間にか、少年が目の前に 俺は驚いて後ろへ後退りすると 少年は寂しそうな顔で、 社内へ消えていってしまった 気味が悪くなった俺は 逃げるようにに家へ帰って パソコンを開いて あの神社に関する情報を探った だが一向に見つからない、 その日は諦めて寝ることにした その夜は何故か心地の良く 眠れた気がした 翌日、俺は誘われるように 神社へ向かっていた 昨日とは違い 神社への道のりが短く感じた そして、少年が居た… 昨日と変わり無く社の中にポツリと座っていた 「…っ」 少年は言葉を詰まらせている、 きっと言葉を 選んでいるのだろう 怖がらせないように、 驚かせないように、と… 俺は彼を無視して 社内へ入っていった 彼は体をピクつかせている その仕草に何故か愛着が沸いた しばらく社を散歩して 少年へと近付き 視線を合わせるように こちらも背を屈ませる 「…お前は一体なんだ?」 取り敢えず 知りたかった事を聞いてみる しばらくおどおどしていたが 直ぐに冷静さを取り戻し 「…季節?」 と答えた 何故か疑問系で そして首を傾げた仕草にも 何故か愛着が沸いて 共に自分への失望感が沸いた
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