プロローグ

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九月下旬の夜明け前。 カナリアは死んでいた。 いつの間にか時計の針も止まっている。 窓際、カーテンの下にいるナツキからは呼吸の音が聞こえてこない。 あの神経質なほど綺麗好きだったナツキが、自分の排泄物の上に横たわったまま動かない。 ここからだと、生きているか死んでいるかもわからない。 キョウコは床に転がっていたビンを掴み、ナツキの頭に投げてぶつけてみる。 ビンが当たった瞬間、微かにナツキの指先が動いた。 ……どうやら、まだ生きてはいるようだ。
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