プロローグ

4/4
前へ
/300ページ
次へ
リビングの棚に目を向けてみるが、やはり何もおいていなかった。 もともと料理をする者はいなかったので調味料の類もない。 唯一、二人掛けのテーブルの上に、親指サイズの塩の瓶と、黒砂糖の袋が置いてあるだけだった。 キョウコは、流し台においてあるコップを掴み、中の濁った液体を捨て、洗うこともなくそのまま水道の水を注ぎ入れて飲み干した。 そしてコップを流し台においたあと、タンスの引き出しを確認する。 茶色い封筒には、紙幣は一枚も入っていなかった。 もう、何も買うことはできない。 いよいよ最後の日がすぐそばまでやって来たようだ。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2294人が本棚に入れています
本棚に追加